素粒子カフェ
昨日、新宿区役所そばの喫茶店ルノアールの貸し会議室を使っておこなわれた素粒子カフェに参加しました。歌舞伎町のすぐそばで、まわりが風俗店だらけというこの場所は、まじめな勉強の場としてはちょっとどうかと思いましたが(笑)、まあそれは本人の心がけ次第なので置いておきましょう。講師をつとめる泉田(せんだ)先生は、ここ最近あちこちで開催されるようになった「サイエンスカフェ」が、カフェと言いながらも未だ「喋る側」と「聞く側」にきっちり分けられ、ほとんど講演やセミナーと変わらないくらい形式ばっていることに疑問を感じているそうです。もっと両者が打ち解けて、ざっくばらんで気軽に会話できる雰囲気にしたいということで、少人数制のこの会を企画したとのこと。お若い先生だということもあって、友達感覚で色々とお話しすることができました。
この素粒子カフェは今後シリーズ化しておこなうそうで、今回はその導入的なもので、素粒子物理学の概要を披露するといった感じでした。つまり、
・素粒子とは何ぞや?
・素粒子が発見された経緯
・何のために素粒子を研究するのか
・自然界の4つの力の概要(重力、電磁気力、強い力、弱い力)
ざっとこんなところでしょうか。僕も本などからの知識はある程度ありますが、実際に人から言葉で説明されるほうが断然理解できますね。やはり文章だけではどうしてもうまく伝わらないものがあります。ああなるほど、こういうことだったのね、とうなずくことが色々ありました。
人間とは面白いもので、子供の頃は勉強嫌いでも、大人になっていろいろな経験を重ねていくにつれ、勉強することが楽しくなってくることってありますよね。物理なんて子供のころは数学とどこが違うのという感じでこれっぽちも興味がなかったのですが、大人になって物理とは何なのかということがだんだんわかってくると俄然興味が湧いてくるわけです。つまり、受験勉強ではない、その学問の本当の姿がわかってくると、その面白さにようやく気づくんですね。でも物理を本格的に勉強するにはやはり数学がある程度理解できなきゃならない、するとそのために数学を勉強しようという気になるんです。数学も単に公式を暗記するとか、入試のために勉強するのは全然面白くないですが、宇宙のこんな現象がこの式で表されるとか、原子のこの不思議な振る舞いはこの数式で導かれるという話になると、いっちょ勉強してみようかという気になりますね。
でも僕らにとって、いまさら大学の物理学科とかに入るのはかなり無理があるので(仕事を辞めて勉強に打ち込めば大学によっては入れる可能性はあるかもしれませんが)、残された道としては本を読むことしかないわけです。が、最近は大学も生き残りが大変になってきて、学生を集めるだけでなく、一般人に向けてもいろいろなセミナーを開催するようになってきました。これは勉強したいけどその場がない大人にとっては、とても嬉しいことです(よくよく考えれば、お金のない学生を相手にするだけでなく、お金を持っている大人をもっと取り込めば大学の懐も暖かくなると思うんですがね)。そして今回の素粒子カフェのように現役の研究者と面と向かって話ができる場は、そんな意味でとても貴重なんですね。だから僕らのようなシロウトに時間を作って話をしてくれるイベントがあれば、開催してくれる方のモチベーションを上げられるよう、こちらもできるだけ応えていきたいものです。
もしこのブログを読んでいる人で、次回からの素粒子カフェに参加してみたい人があれば、メールで連絡ください。
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