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2010年8月15日 (日)

就活

僕はCG会社の代表をつとめている関係上、就職希望の学生の面接をすることもあるんですが(うちの場合はどちらかというと中途採用のほうが多い)、最近の学生は立派なポートフォリオを作って応募してくるんですね。ちゃんと装丁してあって本みたいな感じになってるんです。自分が学校で制作したCGアニメーションのDVDと、そのポートフォリオをセットで見せるというが、ごく普通のパターンになっています。どれも気合を入れて作られていて、自分の就職活動のときはこんな立派なものは作らなかったなぁ、今の学生はすごいなぁと感心する一方、採用する側から見ると、本当に見たいものが入っていない場合が実は非常に多かったりします。

DVDとポートフォリオの中身はだいたい決まっていて、まずDVDには数分の、卒業制作として作られたCGアニメーションが入っていて、ポートフォリオのほうには、その卒業制作のメイキング資料、そして授業で描いたデッサン等が入っています。この形式については別に文句はないのですが、問題はその内容で、たいがい「広く浅く」という感じで、本人が得意としていることが何なのか、何に興味があって何を目指したいのかが今ひとつ伝わってこないわけです。特にCGアニメーションに関しては、お決まりのように人間かロボットっぽいキャラが出てきて、面白くもないストーリー仕立てになっていることがほとんどで、最初から最後までちゃんと見ることはまず無いです。

学校から指導されるのかどうかわかりませんが、就活用の資料としては非常に損な作り方をしているなぁとつくづく思いますね。たとえばうちの会社で言えば本当に知りたいのは、どれくらい物をフォトリアルで作れるのか、実写とCGの融合が自然にできるか、液体や光などのエフェクト制作ができるかといったようなことで、それらが彼らのポートフォリオから読み取れることはほとんどありません。たぶん学校ではやってないんでしょうけどね。なぜか誰もが中途半端なキャラクターの造形とそのアニメーションに非常に力を入れているんです。

「CG制作」という仕事の中で、キャラクターアニメーションの仕事というのは実はそれほど多くはありません。キャラ物はCGとして目立つから多いように感じますが、それ以外の仕事のほうが膨大にあるわけです。特に僕らがやっているような仕事は、一般の人にはCGと意識されないものが多いですから、余計にキャラ物のCGが目立ちやすいんでしょうね。もちろんキャラのモデリングやセットアップの力があれば、いざというときには役には立ちますが、そればかりを、しかも冗長なストーリーをつけて見せられても困るわけです。むしろ静止画で良いので超フォトリアルなCG画像や、数秒程度のエフェクトアニメーションなどがバリエーションで見られると非常にうれしいです。

もちろん、今言ったようなことは僕の会社の都合なので、他社の場合はまた全然違った見方をするかもしれません。要は、複数の会社を受けるのに、同じポートフォリオを使ってもダメだよということです。その会社がどういう人材を必要としているのかを読み取って、それに合わせて自分を売り込む方法を考えなければならないということです。

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