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2011年1月29日 (土)

暗黒物質セミナー

ここ数日、撮影があったり東京に出たり急ぎの仕事があったりで更新ができませんでした。今日から隔週で「暗黒エネルギー・暗黒物質研究の最前線」という公開セミナーが全5回に渡って新宿で開催されます。その第1回目に行ってきました。5回の概要は次のとおりです。

  • 第1回 宇宙の暗黒問題  杉山 直(名古屋大学教授)
  • 第2回 見えない粒子ー素粒子としての暗黒物質  野尻美保子(KEK教授)
  • 第3回 暗黒物質を捕まえる  鈴木洋一郎(東京大学教授)
  • 第4回 超新星爆発で調べる暗黒エネルギー  土井 守(東京大学教授)
  • 第5回 重力レンズで探る暗黒物質・暗黒エネルギー  高田昌広(東京大学准教授)

1回目はこのセミナーのオーガナイザーである杉山先生の登場。宇宙の構造から暗黒物質、暗黒エネルギーについての基本的な知識のお話。杉山先生のセミナーはこれまでに何度か行ってますが、このような会は堅苦しくて退屈と思っている方はぜひ杉山先生の講義を聞いてみることをお勧めします。とても話が上手で、いろいろなことをユーモアを交えて面白く聞かせてくれます。始終ハイテンションで、2時間の講義時間中、笑いが絶えません。

「暗黒物質」とか「暗黒エネルギー」などと書くと、あまりよく知らない人にとってはちょっと胡散臭い感じに見えるでしょう。杉山先生も、暗黒エネルギーについて語るとどうしても「真空から生じる反重力エネルギー」みたいな言い方をしなければならず、自分がマッドサイエンティストになったような気になると言ってました(笑)。名前はインチキ臭いですが、実質宇宙を支配しているのはこれら「暗黒エネルギー」と「暗黒物質」であることがわかっています。最新の研究では、宇宙の全エネルギー(エネルギーと物質は等価なのでこの場合、物質も含まれます)のうち、72%が暗黒エネルギー、23%が暗黒物質、残りの5%弱が我々が知っている物質(元素)であることが判明しています。つまり宇宙に満ちている物の95%以上は、いったい何なのか現状まったくわかっていないのです。

なので、宇宙研究の最前線では、何とかしてこの暗黒○○の正体を解き明かそうとみな躍起になっているわけです。暗黒物質は何も数万光年のはるか彼方にあるのではなく、実は今も私たちの体をどんどん突き抜けていっているはずなんですね。ニュートリノがどんな物質もすり抜けていくので発見が遅れたように、暗黒物質も銀河のような大きなスケールでは相互作用するものの、惑星とか人間レベルのスケールではまったく相互作用しないので見つけられないと考えられています。日本では、岐阜県の神岡にこの暗黒物質を捕まえるための装置が作られています。

暗黒エネルギーについては現状ではいろいろな説が渦巻いている状態です。我々の宇宙と隣の宇宙がお互いに引き寄せ合っているのではという説まであります。こちらは解明されるまで、まだかなり時間がかかりそうです。

今日杉山先生の話を聞いていて気になったのは、たぶん聴講していた人のほとんどは聞き流していると思われますが、M87という銀河の写真が出たときに、ウルトラマンの故郷は実はM78星雲ではなくM87星雲だということをボソッと言ったのです。僕はこのブログに自分で撮ったM78の写真を載せてウルトラマンの故郷だと書いたりしているので、ピクッと反応したわけです。そのあと先生はすぐに次の話に進んで特にこのことについて話を引っ張ることはありませんでしたが、僕はどうも気になってしまったんですね。

それでセミナーのあとネットで調べてみたところ、杉山先生の言ったことが正しいことがわかりました。ウルトラマンの故郷は一般的にはM78星雲ということになっていて、番組のナレーションでもそう言っているのです。しかし本来の設定は実はM87星雲であったと。確かにウルトラマンの兄、ゾフィーの必殺技はM87光線で、M78光線ではないのです。ではどこで変わってしまったかのか? なんと台本に誤植でM78と印刷されてしまい、ナレーターの石坂浩二がそのとおりに読んで、そのまま収録されてしまったそうなのです。気づいたときにはもはや修正不可能で、結局M78星雲がウルトラマンの故郷ということになったそうです。初めて知りました。

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