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2011年2月24日 (木)

宇宙を織りなすもの

昨日、ようやく「宇宙を織りなすもの」(ブライアン・グリーン著)という本を完読しました。去年買った本ですが、僕の読書時間は東京へ出るときの電車の中か、ファミレスなどで一人で外食しているときに限られている上、途中ほかの本も読んだりしていましたから、僕の物理に関しての無教養もあって、上下刊合わせて約1000ページに及ぶ本書を読みこなすのには時間がかかりました。

この本は宇宙論の中でも「時間」と「空間」にテーマをしぼり、ニュートンやアインシュタインといった人たちの歴史的業績から、現在の物理の最先端研究に至る過程でわかっていることを一般の人でも理解しやすいように解説したものです。2009年発行の本ですが、原著は2004年に出ているようで、最先端の研究の部分で若干今と状況が食い違う部分もあります(例えばLHCの状況など)。それでも普段我々がこれといって特別に気にかけることもない「時間」や「空間」のショッキングな概念を、それほど難解でない言葉で知るには良い本だと思います。

なぜ時間や空間は存在するのか? どのようにして生まれたのか? そもそも本当に時間や空間は存在するのかといった、一昔前であれば哲学の領域だと考えられていたこのような問いに、今の最先端の物理学はかなり突っ込んだところまで迫っています。もちろんその正体をつきとめるには至ってませんが、世界の物理学者がコンセンサスをもって「こうではないか?」と考えているその内容は、かなり衝撃的なものです。僕が時々このブログで書いている「超ひも理論」なんかも、我々はブレーンという膜の上に住んでおり、全ての物体は極めて小さいひもからできていて、さらに空間は10次元であるなんて、それだけ聞けば頭がいかれた人の戯言だと思われそうなものですが、何といっても一番度肝を抜かれるのは「ホログラフィック宇宙論」でしょう。

「ホログラフィック」とは皆さんも知っている「ホログラフィー」と同じで、3次元の立体映像を2次元に記録する技術です。ホログラムは色々なところで目にしますが、平面なのに立体に見えて不思議ですよね。ホログラフィック宇宙論は、我々が普段感じているこの3次元の世界は、そのホログラムのように実は遠くにある2次元世界から投影された立体的な写像であるとしています。つまり中が空っぽの球体があるとして、その中が我々の3次元宇宙だとしたら、我々の存在を含め日々体験していること全ては実はその球の表面という2次元の面で起こっていることであり、それがホログラムのように球の中の3次元空間に投影されているものを見たり感じたりしているというのです。

この理論は何もマッドサイエンティストの荒唐無稽な妄想ではなく、現実の物理現象を注意深く数学的に調べた結果導き出されるもので、そのように考えても従来の物理法則とは矛盾しないことがわかっています。映画「マトリックス」で、現実だと思っていた世界は実はプログラムされたデータが脳内で再生されているだけだったというのがありましたが、ホログラフィック宇宙論の考え方はそれをあっさり凌駕するインパクトがあります。物理学の最先端で研究されている内容を知ると、正直、人が考えた物語などよりも遙かに面白いと感じます。

人類の歴史で蓄積された知識と発展したテクノロジーによって、今、宇宙という概念がまったく新しいものに変わろうとする最もエキサイティングな時期にあるんですね。この分野からは片時も目が離せません。

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