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2011年2月26日 (土)

暗黒物質講座第3回目

今日は新宿で「暗黒物質・暗黒エネルギー講座」の第3回目。今回の講師は、東京大学の数物連携宇宙研究機構副機構長で、同じく東大・神岡宇宙素粒子研究施設長でもある鈴木洋一郎教授。鈴木先生は、現在「XMASS」と呼ばれる、宇宙からやってくる暗黒物質を捕らえるプロジェクトを進めています。

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前回の野尻先生が、粒子加速器を使って自分たちで暗黒物質を作ってしまおうとしているのに対し、XMASSは、今この瞬間にも宇宙から大量に地球に降り注いでいるはずの暗黒物質を捕まえようとするものです。そもそもこの宇宙に暗黒物質なるものがあることがなぜわかったのか? これは異なるいくつかの観察と検証からわかったのですが、そのひとつは、銀河の運動を詳細に調べることによるものでした。下の写真は僕が望遠鏡で撮ったM33という銀河の写真ですが、見てわかるとおり、地球からはちょうどこの銀河を真上から見るかたちになり、しかも僕のありふれた普通の望遠鏡でも一応撮れるくらい近くにあるため、その運動を観察しやすいんですね。。地球からは、アンドロメダ大星雲の次によく見える銀河だそうです。

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このM33銀河をはじめ、いくつかの銀河系の運動を調べてみたところ、奇妙なことがわかりました。太陽系もそうですが、重力の法則によると、中心にある物体の重力に捉えられた物がとる回転運動は、中心から離れた場所にあるものほど速度が遅くなります。太陽系では、一番内側を回る水星の公転速度が一番速く、最も外側にある海王星が一番遅いのです。その様子を模式的に表したのが左側のアニメーションです。しかし銀河の回転を調べると、内側の星々と外側の星々とでは右図のようにそのスピードがほとんど変わらないことがわかったのです(「同じスピード」というのは全てが同じ時間内に1回転するわけではないことに注意)。これのどこが奇妙かというと、重力の法則に従っている限り、中心近くにある物ほど速く回っていないと、中心の星に落ちてしまうからです。飛行機が速く飛んでいないと地上に墜落するのと同じですね。逆に遠くの星は、速く回ると中心星の重力から逃れて外に飛び出ていくはずなのです。

ということは、銀河のような非常に大きなスケールに於いてアインシュタインの重力の法則(一般相対性理論)が間違っているか、目には見えないけれども銀河をこのように動かしている何かが存在すると考えられるわけです。検証の結果、重力の法則に問題はなさそうで、どうやら光やX線といった我々が観測につかう手段では見ることのできない、電磁波を出さない「暗黒の物質」が存在するらしいことがわかったわけです(通常の物質は、我々の体を含めみな何かしらの電磁波を出しています)。このような銀河の運動の観察以外、例えば重力レンズ効果を探す観測などからも、同じように暗黒物質の存在が確かめられました。しかし存在することはわかったのですが、ではそれは一体何なのかがまだわかっていないのです。

そこで、鈴木先生のチームは、XMASSプロジェクトで未知の暗黒物質を捕まえてやろうとしているわけです。下の写真は、そのXMASSの観測装置です。

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何だかSF映画にでも出てきそうな未来のマシーンといった感じですよね。これは直径1.8メートルの球形をしており、中にはマイナス100度という超低温の液体キセノンが入っていて、宇宙から飛んできた暗黒物質がキセノンに衝突すると光を出し、その光を球の内側に蜂の巣状に並べられたセンサーが感知するというしくみです。キセノンが選ばれたのは、予想される暗黒物質1個の重さが今のところ陽子の100倍以上とされていて、キセノン原子1個の重さとほぼ同じだからだそうです。下の写真はXMASS装置の内部。

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この装置を作るときの苦労話をいろいろ聞かせてくださいました。すごく順調にいけば、年内にも何かしらの発見があるかもしれないし、そうでなくても5年以内には暗黒物質の正体がつかめるのではないかということでした。

ところで、新宿へ足をのばしたついでに、任天堂の3DSの発売日だということで、レイトン教授の新作も出たことだし買ってやろうかとビックカメラに寄ったところ、「本日は予約のお客様のみの販売、次回入荷未定」との張り紙が。残念でした。

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