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2011年4月 1日 (金)

石碑

以前庚申塔についての記事を書きましたが、自宅近辺を歩き回っていると、あちこちに江戸時代に建てられたと思われる庚申塔やら何やらの色々な石碑を見つけることができます。大抵は一箇所に何種類かがまとまって並んでおり、それらがどんな経緯で作られたのか調べるのは面白いです。

こんな感じで道沿いに並んでいます。場所によって、保存状態が良かったり悪かったりします。

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下の左は以前の記事にも載せたことがある庚申塔で、僕はこれをてっきり「えびす神」の像だと思ってたんですね。右が一般的なえびすさんの写真ですが、見てのとおり左の像も、すごく単純化されてはいるものの、釣竿らしきものを担いでおり、頭巾をかぶっているように見えますし、何となくヒゲのようなものも生えているように見えますし、同じようなポーズをとっていてそっくりなわけです。また、この近辺は漁村なので、えびす神の像が祭ってあっても不思議ではないのです。

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しかし別のところでこれと同じ像を見つけたときに、えびす神ではなかったことが判明しました。下の写真は自宅から少し歩いた子安という場所にある庚申塔で、なぜか顔がえぐれていますが、上と同じ様式のものであることは明らかです。そしてこちらのほうが保存状態は良く、彫り方も上手です。

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なぜこれがえびす神でないことがわかったかというと、この石碑の横に下のような説明があったんですね。

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葉山町と違って横須賀市の庚申塔はどれもきちんと管理されていないように見えるのですが、ここだけはこんなのが横に建っています。「御幣を担いだ一猿の庚申塔」「横須賀市の西海岸だけに見られる珍しいもの、いずれも享保年中に建立されている」と書かれています。ということはこれはえびすさんではなく猿なのです。そして釣竿だと思っていたのは実は御幣でした。写真をよく見ると、確かに担いでいるのは御幣であることがわかります。

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「御幣を担ぐ」というのは「縁起を担ぐ」という意味があるようで、このような庚申塔はこの近辺でしか見られず、しかも限定された期間にしか建てられていないということは、何か非常にローカルなブームでもあったんでしょうかね。ただ、御幣を担いだ猿というキャラクター自体はローカルなものではなく、調べてみてわかったのは、全国にある日枝神社とか日吉神社が猿を神の使いとして崇めており、東京・山王の日枝神社には御幣を担いだ猿の人形が奉納されてあるようです。

<御幣を担ぐ猿の山車人形>
http://japanfestival.web.fc2.com/06-consideration/sanno-saru/sanno-saru.html

日吉山王信仰というらしいですが、もともと中国からやってきた庚申信仰が、江戸時代の頃にはこういった日本の色々な宗教と混ざり合って独自の文化を作っていたようです。

庚申塔のそばには、このほかにも色々な石碑が建っており、とても興味深いです。下は2つとも馬頭観音の像です。

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馬頭というと馬のような顔をしたものを思い浮かべてしまいますが、普通の顔の頭上に馬頭が乗っかっているというスタイルです。上の写真の左側ですと、彫刻に手を抜いていてわかりにくいのですが、頭の上に乗っかっているのが馬頭です。馬頭観音は菩薩のひとつで、ウィキペディアによると「衆生の無智・煩悩を排除し、諸悪を毀壊する菩薩」だそうです。また、馬ということから動物の守護仏でもあるそうで、たとえば下の写真のように単に文字だけしか彫られていないような碑もあるのですが、飼っていた家畜が死ぬと、このように馬頭観音の像を建てて供養したそうです。

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そして今まで見たことがなかったのが、下の写真の石碑です。「迎音童子」とか「覚幻童女」「善覚童子」といった文字が見えます。

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「童子」とか「童女」とあるくらいなので、子供と関係のある石碑だと想像はつきます。字面だけ見ると、何だかとても神秘的というか幻想的なものを感じるのですが、いったい何なんだろうと調べてみました。そして見つけたのが下の資料です。

http://libst.nul.nagoya-u.ac.jp/pdf/annals_06_01.pdf

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これは瀬戸内海に浮かぶ因島で発見された過去帳です。これに同じような文字がたくさん見られます。つまり死んだときにつける戒名だったんですね。ということは、このあたりで亡くなった子供を弔ったものなのでしょう。数百年の昔にここで暮らしていた人々の姿が目に浮かんできます。

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