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2012年7月22日 (日)

ヒッグス粒子覚え書き

先日の量子力学講座でもらった資料。ヒッグス粒子についてCERNのアトラス実験グループが出した結果。

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素粒子物理学の標準モデルで未発見だった最後の粒子、ヒッグス粒子の存在がほぼ確定的になったわけですが、いったいどのようにして探しだされたのか? これは探しだされたというよりは作り出したと言ったほうが正確ですね。LHCという超巨大粒子加速器を使い、莫大なエネルギーを注入してほぼ光速にまで加速させた陽子どうしを正面衝突させると、陽子が壊れ、そこに新しい粒子が誕生します。

陽子を光速に近づけることはそれほど難しいことではありませんが、そこからさらにエネルギーを加えていくと、スピードはそれほど変化しませんが、どんどん陽子の質量が大きくなります(アインシュタインの相対性理論により、エネルギーは質量に転化される)。光速になると質量は無限大になるので光速に達することはできませんが、光速に近づけば近づくほど質量は大きくなります。理論的にヒッグス粒子の質量は100~130GeV(ギガエレクトロンボルト)と予想されていて、これは陽子1個の重さ(約1GeV)の100倍以上なわけです。したがってそれだけ重い粒子を作り出すには、衝突させる陽子に膨大なエネルギーを注入して重くしなければなりません。

ちなみにLHCの実験で生み出されるエネルギーはどれくらいかというと、宇宙はビッグバンという物凄く高温の火の玉として生まれたわけですが、宇宙が誕生してから0.0000000001秒後の平均温度と同じくらいだそうです。これを考えるととんでもないエネルギーだということがわかりますね。

で、陽子どうしを衝突させて生まれたヒッグス粒子は、瞬時に崩壊して全く別の粒子に変わります。したがってヒッグス粒子そのものを直接観測することはできず、それが崩壊してできた粒子の種類を見て、ヒッグス粒子が作られていたのだなと確認するわけです。ではどんな粒子へ崩壊するかというと、それが上の2つの図に書かれています。2パターンあって、ひとつは2つの光子(ガンマ線)へと崩壊するパターン(上の図)、もうひとつは2つのZボソン(弱い相互作用を媒介する粒子)へと崩壊するパターンです(下の図)。Zボソンに崩壊した場合は、さらに4つのレプトンに崩壊します。レプトンとは電子の仲間の粒子の総称で、電子、ニュートリノ、ミュー粒子、タウ粒子のことを指します。

いずれのパターンでも、質量が125GeVあたりのところに何かしらの未知の粒子があることを示していて、理論値ともピッタリくることから、それがヒッグス粒子なのではないかということです。

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