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2012年7月28日 (土)

弦理論から導く宇宙誕生の様子

今日は10時から新宿で超弦理論の講座。タイトルは「超弦理論の数値シミュレーションが描く宇宙誕生の様子~9次元空間から3次元空間への相転移」。講師はKEKの西村淳先生です。

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1996年に提出された「IKKT行列模型」という超弦理論に関する論文があり(IKKTというのは4人の共同研究者のイニシャル)、それに基づいてスーパーコンピュータでシミュレーションをすると、どのような宇宙が生まれるかというお話。

このブログでも何度か書いていますが、超弦理論ではこの世界は3次元ではなく9次元空間(時間を含めると10次元時空)だとされます。しかし現実には我々には3次元までしか見えないわけで、残りの6次元はどこにあるんだという話になるわけです。この宇宙が誕生した瞬間は9次元だったのが、何らかの理由で3次元分だけが大きくなって、残りの6次元は人間が感知できないほどに小さいままだからというのが、今のところの理由とされています。で、今回の講座では、IKKT模型に基いてシミュレーションしてみたところ、9次元のうちの3次元だけが自然に膨張するという結果を得られたことについての説明がありました。

どのように計算するかというと、A0、A1、A2・・・・A9という10個の N x N 行列を設定し、行列の全ての要素について積分するのだそうです。なぜ10個かというと、超弦理論では宇宙は10次元時空であるとしているからで、A0は時間を表し、残りのA1~A9が各次元を表します。

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行列というとCG制作でスクリプトを書くときによく使うので馴染みはありますが、それがどんなふうに宇宙の時間発展につながるのかチンプンカンプンで、まあとにかくスパコンで気の遠くなるような計算をすると、なぜか3次元分だけが急速に膨張して、残りの6次元は小さいままという興味深い結果を得られたそうです。

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ということは、この世が4次元でも8次元でもなく、3次元に見えるということは必然なのだということでしょうか。試しに初期設定の次元数を9以外の数値に変えてみても、3次元分だけが膨張するそうです。詳しい理論的なことはわかりませんが、とても面白い結果ですよね。

ところでこの手の講座を聴講していつも思うのは、本題に入るまでの前置きがとても長いということです。例えば今回のような超弦理論の講座では、その前置きとしてアインシュタインの一般相対性理論とか、量子力学の基礎知識みたいなのをまず説明するんですね。というのもその辺がわかってないと、いきなり弦理論の話を聞かされても、普通の人は何のことだかわからないからです。なので、講義時間の約3分の2くらいはそういった基礎知識の説明で費やされてしまい、本題は3分の1の時間しかとれないといった感じになります。

しかし超弦理論の講座を聞こうとしている人間は、たいがい相対性理論も量子論もある程度理解している人がほとんどだと思うんですよね。今回も本題のほうにもっと時間を費やしてもらえると、もっと理解が深まったかなという気がしました。

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